レーザーの安全性: 安全基準クラスの種類
レーザーを使用する際は、安全を第一に、細心の注意が必要です。レーザー加工機には、正しく製造され安全に使用するための国際的な安全基準が定められています。その国際規格によってレーザー製品は、目や皮膚への障害を基にクラス1からクラス4に分類されています。
レーザーの危険性
レーザーの高い集光性は材料加工には有効ですが、人体には深刻なダメージを与えることがあります。金属を切断できるほどの高出力レーザーは、ごく短時間の照射でも目に深刻な損傷を与えたり、生体組織を焼いてしまう恐れがあります。
レーザーのクラス分類
クラス1
稼働時に予見できる合理的な条件下で安全なレーザーです。放射される電力が非常に低い、またはレーザーシステムが放射が漏れないように密封されています。
クラス1M
クラス1Mレーザの波長領域は、302.5nm~4000nmの間に限られています。クラス1Mのレーザーは、通常の使用では人体に危険はありません。ただし、レンズや望遠鏡などでレーザービームを集光(縮小)すると、目に有害となる可能性があります。光を集める光学機器を使わない限り、その安全性はクラス1と同じです。
用途:
- バーコードリーダー(例:スーパーマーケットのレジなど)
クラス2
クラス2レーザーは、波長領域が400〜700nmの可視光を発するレーザーで、通常は人の目で見ることができます。0.25秒未満というごく短時間であれば、人体に危険を及ぼすことはありません。そのため、クラス2レーザーは保護具を装着せずに使用することが可能ですが、安全に使用するためには、操作者がレーザービームを意図的に、または繰り返し0.25秒以上見続けないことが前提です。
クラス2レーザーは、実際の危険性が見過ごされやすいクラスでもあります。なぜなら、0.25秒を超えて目に当たると、視力に永久的な損傷を与える可能性があるからです。特に赤色レーザーでは、5人中4人が「まぶたを閉じる反射」や「視線をそらす反応」を示さないとされており、この点は特に注意が必要です。なお、レーザーポインターであっても、クラス2に分類された精密な機器であるため、使用には責任ある取り扱いが求められます。
用途:
- レーザーポインター
- レーザー水準器
- 光幕
クラス2M
クラス2Mレーザーは、波長領域が400〜700nmの可視光域にあるレーザーです。基本的な安全性はクラス2レーザーと同様であり、0.25秒以内のごく短時間であれば、レーザービームを直接見ても危険はほとんどありません。ただし、クラス2Mでは「光を集める機器(レンズや望遠鏡など)」を通してレーザーを観察すると、危険性が大きくなります。このような場合には、クラス3Rやクラス3Bレーザーと同等のリスクが生じることがあります。
用途:
- プロジェクションレーザー(例:レーザーショーや展示ブースの構築など)
クラス3R
クラス3Rレーザーは、波長領域380〜780nmの可視光域において最大5mWの出力を持ちます。これは、クラス2レーザーのおよそ5倍の出力に相当します。クラス3Rは、クラス2とより高出力のクラス3Bとの中間に位置づけられるレーザークラスです。直接目に入ると危険であり、取り扱いには適切な知識と理解を有することが求められますが、クラス3Rレーザーの使用にあたっては、レーザー安全責任者の任命や特別な訓練は法的には義務づけられていません。
用途:
- 目標装置・距離測定
- 水準レーザー
- 大規模な光幕
クラス3B
クラス3Bレーザーは、目だけでなく皮膚にも危険を及ぼす出力を持つ高出力レーザーです。レーザービームを直接見ることは、いかなる状況でも絶対に避けてください。ただし、拡散反射された光を観察する場合に限っては、一定の条件下で安全に行うことが可能です。具体的には、目と反射面との距離が少なくとも130mm以上あること、観察時間が10秒以内であること、そして目にレーザーの直接的な光線が入らないことが条件となります。皮膚に対しても、クラス3Bレーザーの出力が最大許容放射量(MPE)を超えると危険を伴います。安全に取り扱うには、使用環境や操作手順への十分な配慮が必要です。
用途:
- 美容用レーザー
- ショー用レーザー

レーザー安全用保護ゴーグルについて
レーザー保護ゴーグルは、レーザーの波長や出力に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。特にクラス3レーザーからの使用が推奨されており、クラス4レーザーを扱う場合には着用が必須となります。
クラス4
クラス4レーザーは非常に高出力で、取り扱いには専門的な知識と適切な訓練が必要です。このクラスのレーザーは、目に対して極めて強い危険性があり、皮膚にも深刻な損傷を与える可能性があります。また、拡散反射された光であっても安全ではなく、重大な健康被害を引き起こすおそれがあります。さらに、レーザーの出力次第では火災や爆発を誘発する危険もあります。クラス4レーザーは、材料加工などで使用される高出力レーザーで、クラス3Bの出力限界を超え、出力に制限がありません。そのため、レーザービームが目や皮膚に触れると、瞬時に深刻な組織損傷を引き起こす可能性があります。なお、クラス4レーザーは法律上、個人でも購入・使用することが可能ですが、安全性を確保するためには専門知識が不可欠です。適切な経験や訓練がないまま使用することは、非常に危険であり、絶対に避けてください。特に注意すべき点として、レーザービームは数百メートル先でも目に損傷を与える可能性があります。また、使用する波長によっては、通常の窓ガラスを透過することもあります。
用途:
- レーザー切断機
- レーザー溶接機
- 科学研究