レーザー彫刻の粉塵対策:
5つのヒント

レーザー彫刻で粉塵が付着したゴム板

きれいな加工ができない主な原因は、彫刻による粉塵

木材プラスチックゴム等のレーザー彫刻では、削られた材料が粉塵の原因になります。加工によって発生した粉塵をマシンの表面やレンズから取り除かないと、変色や焦げ、さらにゆがみなどが起こり、希望とは違った仕上りの加工になってしまいます。

そこで常にきれいで美しい仕上りになるように、レーザー彫刻の粉塵対策として5つのヒントをご紹介します。

レーザー加工機の粉塵を防ぐ5つのヒント

  • 長時間加工後、定期的に機器を清掃する
    粉塵のせいで何度も彫刻加工をやり直すより、定期的な機器のクリーニングを行いましょう。その方が時間の節約になります。
  • スペックの十分な排気システムを使用する
    レーザー加工機専用の集塵脱臭装置を接続して、加工する材料と量に適した排気システムを使用しましょう。
  • 使用しない加工エリアをカバーする
    使用しない加工エリアを紙などの材料で覆うと、彫刻するエリアの排気効率がアップします。
  • 加工方向を逆にするJobControlやRuby® ソフトウェアで加工方向を設定します。加工方向を変えることで粉塵が排気されるので、レーザー光の下に粉塵が入るのを防ぎます。
  • トロテックのオンサイト・サポートを依頼する
    トロテックのテクニカルエンジニアによる機器や部品の点検、またはオーバーホールを定期的に受けることによって、レーザー加工機の耐用年数が長くなります。

上記のヒントについて、次で詳しくご説明します。

加工テーブルのクリーニング

1.機器のクリーニング

適切なメンテナンスは、加工品質の維持と機器の寿命に大きく影響します。トロテック・レーザーのメンテナンスはとても簡単です。各作業はわずか数ステップで完了しますので、下記のメンテナンス表を参考に定期的に行ってください。

1日1回 加工エリアを点検します。粉塵などで汚れていればクリーニングします。
1日1回 ヘッド部のミラーとレンズを点検します。常に埃や汚れのない状態を維持し、ミラーとレンズの損傷を防ぎます。
※レンズのクリーニング方法はこちら
 
1日1回 全排気口が汚れていないかチェックします。これによって適切な排気エアーの流れが確保できます。
週1回 光学部品と機械部品が汚れていないか、全てチェックします。

2.加工中に発生する粉塵を即座に吸引する排気システム

レーザー加工機専用の集塵脱臭装置など、適切な排気システムを使用することは、高品質な彫刻の仕上りの基礎です。なぜなら集塵機は、彫刻やカットの加工中、材料の表面から粉塵や汚れを除去することができるからです。

トロテックの集塵脱臭装置は、内部のフィルターと活性炭を定期的にモニタリングや点検することで、常に排気システムの効率を一定に保持することができます。これらの数値は、集塵機の液晶ディスプレイに表示されるので、集塵機の稼働率が可視化でき、メンテナンスの必要レベルが分かります。この液晶ディスプレイを頻繁にチェックして、適切な集塵脱臭装置のメンテナンスを行いましょう。

ディスプレイに表示されるメッセージの詳細は、操作マニュアルの集塵脱臭装置で紹介されています。

※トロテック・レーザーをご購入済みのお客様で操作方法について、ご不明な点がありましたら、当社にお問い合わせください。

Atmos集塵脱臭装置

3.加工テーブルの未使用エリアをカバー

レーザー加工機の排気ポイントを集中させて加工すると、ベストな彫刻とカットの仕上りになります。吸引口や加工テーブルの未使用エリアを覆うことで、排気を集中することができます。

磁気ストラップかマスキングテープを使って、奥にある吸引用の四角い穴を写真の様に加工しない部分(材料を置いていないエリア部分)をカバーします。

加工テーブルにバキュームテーブルを使用する場合は、テーブル上に紙、ボール紙、二層板などを置いて、吸い込み穴をカバーします。これによって加工する材料(例:二層板)がよく吸引されて、加工テーブル上で平らになります。つまり、レンズと材料の距離が一定になり、均等な加工ができるのです。

4.彫刻の方向をリバース

JobControl ソフトウェアの設定で「bottom」を選択し、下から上の方向へ彫刻すると、彫刻の仕上りが粉塵に影響されにくくなります。この方法は、 木材アクリル、そして特に 二層板 の彫刻に効果的です。

【設定方法】JobControl⇒ 画面のメニューバーから「テンプレート」→「テンプレートの設定」の「開始位置」で「bottom」を選択
Ruby®⇒材料データベースのアドバンス内の「方向」→「ボトムアップ」を選択

彫刻の方向を下から上に変えることによって、彫刻されたばかりの温かい材料の上に粉塵が付着するのを抑えられます。粉塵は、材料に付着する代わりに、加工エリアの奥のヘッド排出装置または排出装置(機種による)から排出されます。その結果、加工されていない部分は粉塵が付着していないので、粉塵のない材料の表面を彫刻することができます。

また彫刻の方向を変えることによって、材料や彫刻の仕上りが見やすくなります。なぜなら手前から後方へ移動するので、機器のXY軸によって仕上りが遮られることがありません。

ただし スタンプ彫刻 は一般的に彫刻の方向が上から下になります。それはゴム彫刻のカスが一般的な材料より重いので、排出エアーの吸引力では浮上せず、材料の上にとどまるからです。

集塵脱臭装置のメンテナンス

5.トロテックのエンジニアによる専門的なサポート

マシンの寿命を延ばし、高品質な仕上りを常に維持するために、トロテックのエンジニアによるプロフェッショナルなメンテナンスを少なくとも年一回受けていただくことをお薦めします。それによって、マシンの適切なコンディションを維持でき、予期せぬダウンタイムを防げます。

トロテックでは、定期的なサポートも含めた保守サービス「プロテクションプラン」をご提供しています。

詳しくは こちら

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