株式会社藤巧芸
アクリル素材の店舗什器や販促ツールを手がける株式会社藤巧芸は、アクリル製品の内製化を図るためトロテックのレーザー加工機「Speedy 360」を導入しました。内製比率が高まったことで、外注コストの削減や納期短縮を実現。またレーザーとUVプリントを活用したオリジナルグッズ製作など、様々なモノづくりに活用されています。導入後の具体的な効果について、社長の佐藤大介氏にお話をうかがいました。
アクリル製品の形状が多様化
外注依存によるコストと納期が課題
当社は1976年の創業以来、アクリル製品の加工とサイン・ディスプレイの設計や製作をおこなっています。アクリル什器や販促品など店舗向けのツールを得意としています。既製品を大量生産するのではなく、お客様との打ち合わせを基に図面を引いて、商品を具現化する特注品の製作が強みです。例えば全国展開する輸入雑貨店からの依頼では、各商品の什器からプライスカードを差し込むレールまで、様々なアクリル製品があり、その数は1店舗あたり1,200点に上ります。
こうしたアクリル製品の加工は、自社工場のルーターでカットしていますが、直線のカットしかできません。そのため、角にR(アール=丸み)の付いたアクリル製品は加工業者に外注していました。以前は四角形のアクリルケースが定番だったので、自社のルーターで十分対応できましたが、近年はアクリル製品の形状が多様化しており、外注に頼ることが増えました。また、特注品の仕事を受ける際は、クライアントとのイメージのすり合わせに試作品が必要で、こちらも外注していました。納期は早くても1週間かかり、もし試作品がクライアントのイメージと違っていたら作り直し。こうした手間と外注依存から脱却しようと、自社での内製を検討しました。
20㎜ほどの厚みのアクリル板を切断
高精度な集塵機も導入の決め手に
様々なレーザー加工機を比較検討した結果、2018年にトロテックの「Speedy 360」を導入しました。
看板業界向けの展示会でトロテックのマシンを見たとき、赤を基調としたデザインがカッコよくて一目ぼれしました。マシンの性能も高く、20㎜ほどの厚みのあるアクリル板もレーザーカットできるので、より幅広いニーズに応えられます。他社製の同等のクラスのマシンも試しましたが、Speedy 360の方が性能を上回っていると感じました。
集塵脱臭機の性能が高いことも、Speedy360を選んだ理由の1つです。当社の工場は住宅街に立地し、周辺には小学校や保育園があります。レーザー加工時に発生する臭いを、そのまま外に排気するわけにはいきません。トロテックの集塵脱臭機は、臭いを外に漏らさずしっかり取り除いてくれるので、住宅街の中でも安心してマシンを稼働することができます。
外注コストの削減と納期短縮を実現
試作品づくりもスピーディーに
これまでレーザー機は全く触れたことがありませんでしたが、Speedy 360は操作が簡単ですぐに馴染めました。機能性の高さにも満足しています。カットマークを読み取る小型カメラを搭載してるので、複雑な形の印刷物も位置合わせをする必要がなく、正確にカットできます。
レーザー出力時は、専用ソフトウェア「Ruby®」を使用しています。Illustratorデータと互換性があり、どの社内パソコンからでも、ジョブをRubyにアップロードすればレーザーカットできるので便利です。Speedy 360の導入後は、様々な形状のアクリルケースや店舗什器を内製しています。内製の比率が高まったことで、外注費のコスト削減や納期の短縮化が実現できました。
試作品づくりにもSpeedy 360を活用しています。自社でサンプルを製作するので作業効率が上がり、納品までの工程が速くなりました。試作品を作り直す際もスピーディーに対応でき、時間のロスが減りました。
広がるレーザー×UVのグッズ作り
クリスマスツリー型のオシャレ雑貨
当社はモノづくりに力をいれたいと考え、Speedy 360と同じタイミングで厚物UVプリンターを導入しました。これにより、カラープリントを施した自社オリジナルのアクリルグッズも製作できるようになりました。これまでに「浮世絵」「神社」など日本を象徴するイラストが入ったフォトフレーム「カバーアート」や、クリスマスツリーを象った透明アクリルにLEDライトを組み合わせた雑貨「クリスマスLEDライト」などを製作、販売しています。
Speedy 360があれば、頭の中に描いたイメージをすぐに形にできます。新型コロナが流行しはじめた頃、世間のニーズを感じて、飛沫防止のアクリルパーテーションを製作しました。これまでパーテーションを作った経験はありませんでしたが、ネットショップで30台販売したところ、あっという間に完売しました。その後しばらくは、毎日パーテーションを作るほど仕事に追われましたが、こういう経験ができたのもSpeedy 360があったからです。
最近、エコマークを取得したアクリルパーテーションの販売を開始しました。材料は再生原料含有率80%の日本製のアクリル板です。通常のパーテーションと比べると割高ですが、これからSDGsの時代にマッチしたエコ商品が必要になるだろうと考えています。
今後もオリジナル商品の開発など、積極的にモノづくりをおこなっていく予定です。
今後はアクリル素材への加工がメインですが、将来は木や皮革などのレーザー加工にもチャレンジしたいですね。