紙の加工方法
レーザー加工機を使ったものづくりで、紙はアイデアや表現の可能性を広げてくれる材料の一つです。紙のレーザー加工は実に多様性に富んでおり、デザインや紙質に応じて様々な種類のカットと彫刻を施すことができます。
ここでは映画チケットをサンプルに、紙を材料としたレーザー彫刻とレーザーカットの加工技法をご紹介します。実際に使用したパラメーターも掲載していますので、ぜひこれらの技法にトライしてみてください。
紙は、Gmund 925シリーズ(290 g/m²)のAqua Silverを使用しています。
カラー設定は、レーザーソフトウェアJobControl(ジョブコントロール)、設定の「材料テンプレート」のトロテックカラー(16色または8色)に該当します。
※デザインPDFは、CorelDRAWまたはIllustratorのグラフィックソフトウェアで開いてください。
深めの彫刻

浅めの彫刻

ヘアライン加工(スクラッチング)

飾り枠

ミシン目(破線)のカット

フィリグリーカット

外周カット

印刷のデータ出力設定

グラフィックソフトでデザインの作図が完成したら、下記の出力設定をしてレーザー加工機のJobControlレーザーソフトウェアにデータを送ります。全オブジェクトが正しくレーザー加工されるように、加工オプションのハーフトーン調整は「カラー」を選択し、「高度なジオメトリ」、「最初に内部ジオメトリ」にチェックを入れます。(スクリーンショット画像を参照)
使用機種
Speedy 360、80W、1.5 レンズ
出力設定の加工オプション
加工モード | 解像度 | カットライン |
---|---|---|
標準 | 500dpi | なし |
ハーフトーン調整 | その他 |
---|---|
カラー | 高度なジオメトリ 最初に内部ジオメトリ |
パラメーター設定

次にレーザーソフトウェアJobControl(ジョブコントロール)、設定の「材料テンプレート」を表示して、パラメーターを設定します。
パラメーター設定
技法 | カラー | 加工の種類 | パワー (%) | スピード (%) |
---|---|---|---|---|
深めの彫刻 | 黒 | CO2 彫刻 | 36 | 30 |
浅めの彫刻 | 赤 | CO2 彫刻 | 19 | 40 |
ヘアライン加工 | 青 | CO2 カット | 2.8 | 0.6 |
飾り枠 | デザートブルー | CO2 カット | 5 | 1 |
フィリグリーカット/ ミシン目のカット | シアン | CO2 カット | 8 | 0.5 |
外周カット | グリーン | CO2 カット | 20 | 2 |
ppi/Hz | パス | エアアシスト | Z-Offset | アドバンス |
---|---|---|---|---|
500 | 1 | on | - | 高品質 |
500 | 1 | on | - | 高品質 |
1000 | 1 | on | - | - |
1000 | 1 | on | +4mm | - |
1000 | 1 | on | - | - |
1000 | 1 | on | - | - |
※JobControlのパラメーターをインポートする際、データベースに同じファイル名が既存している場合は上書きされますのでご注意ください。
ヒント
パラメーターは、加工機の機種やレーザー出力(W)だけでなく、加工する材料の材質によって異なります。希望通りの加工を実現するために、様々なパラメーターで加工テストすることをお薦めします。また彫刻の濃淡には、グレースケールマトリックスを作成してから材料テストをすると、希望する濃さのパラメーターを見つけ出すのに便利です。
応用編
写真の彫刻
ご紹介した加工技法は、様々な紙の種類に活用できるでしょう。さらに写真を紙に彫刻して、一味違ったタッチを施すこともできます。写真の彫刻には、JobControlの出力設定で「写真」(加工オプション、加工モード、写真を最適化)とハーフトーン調整のディザ生成を使用します。
注意点
深めの彫刻と浅めの彫刻は、ここでした技法の他に、写真彫刻やハーフトーン調整のディザ生成と組み合わせることで表現できます。この場合、カラーデザインのデータは投影されてしまうので、グレースケールに変換してください。グレースケールに変換したデータは、パラメーター設定でカットラインの色設定に影響しませんが、彫刻の色設定には影響しますので注意してください。