京都大学

“トロテックの決め手は、しっかりと造られた筐体と駆動部。 そして性能に優れた集塵機”

京都大学デザインスクールでは、2台目のレーザーカッターとして、トロテックのSpeedy 100 flexx (スピーディ100フレックス)を2015年2月に導入しました。このCO2レーザーとファイバーレーザーを業界で初めて1台に搭載したトロテック・レーザーカッターについて、京都大学情報学研究科の大島 裕明(おおしま ひろあき)特定准教授、学際融合教育研究推進センター デザイン学ユニット 非常勤講師の白石 晃一(しらいし こういち)氏と技術補佐員の平塚 晃美(ひらつか てるみ)氏、そして同学工学研究科建築学専攻博士課程の安田 渓(やすだ けい)氏にお話しを伺いました。

国立大学法人 京都大学 デザインスクール

導入場所

京都大学 吉田キャンパス 「デザインファブリケーション拠点」
(京都市左京区吉田本町)

レーザー加工機の用途
  1. デザイン学大学院連携プログラムの履修科目
  2. プログラムのイベント、ワークショップ、FBL/PBL、産学連携プロジェクトなど
    (対象者:プログラム履修の大学院生および履修予定の大学生、プログラム関係者)
使用機種
  • Trotec Speedy 100 flexx レーザー加工機 (CO2:60W、Fiber:30W)
  • Atmos Mono 集塵脱臭装置 (200V)

レーザーカッターはどのような施設で使用されていますか?

【白石氏】レーザーカッターが設置されているこのデザインファブリケーション拠点は、京都大学デザインスクール*の施設です。施設の機械を使えるのは履修登録している院生がメインですが、履修予定の学生に向けても開放しています。

【大島准教授】この施設は、デザイン学のための教育プログラムのために約3年前に開設しました。プログラムが実施する授業や、プログラムが主催するイベントを開催するために利用されます。授業やイベントでは大学の外部からの方を交えることも頻繁にあります。このプログラムに関わっている大学院が、情報学研究科、工学研究科、教育学研究科、経営管理大学院の4つで、それらの各分野の専門家がデザイン学の確立を目指して活動しています。特色ある授業としては、問題発見型学習FBL (Field-Based Learning)、問題解決型学習PBL (Problem-Based Learning) があげられ、社会の実問題に取り組む授業を実施しています。

*京都大学デザインスクールとは、文部科学省の推進する「博士課程教育リーディングプログラム」において平成24年に採択された「京都大学デザイン学大学院連携プログラム」を母体としています。5つの専門領域(情報学、機械工学、建築学、経営学、心理学)に属する大学院生が、デザイン学の学位プログラム(5年制のカリキュラム)を履修します。

2台目のレーザーカッターとして、トロテックを選んだ理由は?

【白石氏】既設のレーザーはカット専用機でした。彫刻加工ができないというのは、レーザーの魅力的な一部を逃しているという感じがあったので、彫刻加工ができる機械がほしいというのが、まず一つです。2番目の理由は、ファイバーレーザーを実際使ってみたいと思ったからです。トロテックのflexx(フレックス)レーザーは銅箔の彫刻もできることを知り、電子基板の制作が可能なのではと考え、トロテックのショールームで実験させてもらい、実験の結果良い感触を得られたので購入に至りました。ファイバーレーザーでの彫刻、CO2レーザーによるカットが一度の操作で行えるので、従来の切削法での制作より格段に加工時間が短くなりました。

そして、何よりトロテックを選んだ一番の決め手は、筐体がガッチリしていて駆動部分のトラブルが少なそうだと感じた点です。制作活動の中で様々なレーザーカッターを扱ってきており、トラブルに悩まされたことも何度かあります。トラブルは一番忙しい時に起こりがちなので、そういったストレスは抱えたくないと常々思っていました。

購入前にショールームで、駆動部分を見せてもらい、部品が非常にしっかりしていて、壊れにくそうだなという印象を持ちました。実際に使ってみてそれは確かだったと感じています。トロテックの機能性の高さは噂で聞いていたのですが、導入してから約1年間使ってみて、高めに設定していた期待にそっている感じがします。大きなトラブルが少ないので、メンテナンスも手間を取らずにできています。

ファイバーレーザーとCO2レーザーをどのように使用していますか?

【大島准教授】CO2レーザーとファイバーレーザーを同時に使う例としては回路基板の作成があげられます。例えば、 LEDをいくつも並べたライトの回路基板を作る際に、通電させる部分は生基板の銅箔を残して、不要な銅箔をファイバーレーザーで除去します。スルーホールの穴は銅箔を飛ばした上で、CO2レーザーで穴を開けています。最後に外形もCO2レーザーで切ります。これらを一度に精度良く行えるので作業が非常に楽です。

【白石氏】今までこのような電子基板を作るには、ミーリングマシンの出番でしたが、ドリルの刃では極めて細かいピッチの端子を持つ集積回路のパターンを加工することは困難でした。加工時間も非常に短く、体感的には5分の1くらいだと感じています。ミーリングの場合、材料セッティングの時間も多くかかるのですが、レーザーカッターならデータを作成したら加工テーブルの上に置くだけで、即加工に入れます。

レーザーカッターによく使う素材や加工用途は何ですか?

【白石氏】こちらのスタジオで最も多く使われる材料はアクリル樹脂で、切り出した素材を組み合わせて立体的な何かを作るということが多いです。自作機械の筐体や箱を作る際に、アクリルの曲げ加工を行うことがあるのですが、その場合折り曲げたい部分に彫刻加工を使うこともあります。例えば、3mmのアクリル板をそのまま曲げると角の部分がはみ出してしまったりしますが、V字の溝をレーザーカッターで彫っておいてから曲げると、きれいに曲げることが可能です。

実際にトロテックを使ってよかった点は?

【大島准教授】切り口をきれいに切りたい場合にはトロテックを使うことが多いです。アクリルの場合、動作の解像度によって、切り口がギザギザになってしまうことがあります。トロテックのマシンは切り口がきれいだと感じます。MDFを切る場合も、切り口をあまり焦がさずにきれいに仕上げることができると感じます。

【白石氏】専用集塵機の性能には驚きました。長時間の加工を行うと、作業中空間に焦げた臭いなどが充満し、ストレスを感じたり、体調を崩してしまった経験があるのですが、初めてトロテックで加工を行った時、ほとんど匂いが気になりませんでした。クリーンな環境を維持することで、自分も周囲の作業者にも優しいというのはポイント高いですね。

【安田氏】このスペースはレクチャー用のステージから打合せテーブル、レーザーカッターや3Dプリンターのあるワークスペースまでがひとつの空間になっているので、他に人がいると臭いに気を遣います。トロテックはMDFやアクリルといった臭いの強いものを切っても気になりません。また、トロテックの集塵機は、誰でも簡単にフィルターの交換ができ、しかもフィルターの状態が数字で液晶に表示されるところがありがたいです。

【平塚氏】理論的にレーザーが集約する径の幅ぐらいで切断できるし、切断面のテーパーも少なくて、組合せて使うモノをつくるのに重宝しています。

今、そして未来に向けて、レーザーカッターの役割とは?

大島准教授】私の専門である情報学は、「モノ」ではない「情報」を扱います。近年、ビッグデータやIoTといった言葉を 聞くことが多いと思います。ビッグデータはありとあらゆるコトとモノが情報化されていることであり、IoTはモノが情報を生み出してその情報を相互にやり とりすることです。

今、「モノの情報化」が起こっているのですが、これらの言葉が広まっていることからもそれが感じられると思います。例えば、イ ンターネットでモノそのものを送ることはできません。でもモノの情報化が一般化すれば、モノの情報が送られてきて、それを基にしてデジタル工作機を使って 誰でもそのモノを作れるということになります。物理的な書籍に対する電子書籍のように、製品も電子化されて「情報」として売られるような時代がやってくる ということです。

その時、情報学の人たちは「情報」に閉じていていいわけがありません。10年後には、デジタル工作機を使いこなすことが リテラシーの一部になっている時代が来ると思います。この現状に気付いて、行動を始めている人はまだ少数です。そこに将来関わるべき人は、今の様々な分野 に点在しています。そこで、ある程度広い範囲の分野の人たちに向けてこのような機械を使える施設が必要であると思います。

レーザーカッターはその中でも、加工にかかる時間が短いですし、基本的には平面加工であることから比較的容易に使い始めることができます。このような施設では絶対必要なマシンだと言えます。

(取材2016年6月)
※本文に記載している機械の機能・効果・仕様等は、取材時の情報です。
※レーザー加工機は、その機能から別名、レーザーカッター、レーザー彫刻機、レーザー刻印機、レーザーマーカーとも呼ばれています。

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