腕時計
トロテックのレーザー加工機 flexx(フレックス)モデルはファイバーレーザーとCO2レーザーの2種類のレーザー発振器を1台に搭載しているので、素材が異なる腕時計の本体とバンドへのレーザー加工が一度にできます。例えば、ステンレス製の裏ぶたへのレーザーマーキングと、革ベルトへのレーザー彫刻が1台で加工できます。
準備
材料
- 本体がステンレススチール製、バンドが革製の腕時計
- レゴブロック(治具として使用)
※治具を使って、できるだけ加工テーブルに対して加工面が平らになるように材料をセットします。
使用機種
- Speedy 360 flexx
- 80W CO2レーザー
- 30W ファイバーレーザー
- 2.85インチレンズ
※他のSpeedyシリーズのflexxモデルでも加工できます。
アクセサリー
- 加工テーブル:バキュームテーブル
ステップ・バイ・ステップ
ステップ1:デザインのデータ出力
このページ下のデザインファイルをダウンロードして、cdrかpdfファイルをグラフィックソフト(CorelDRAWまたはIllustrator)で開きます。加工したい腕時計のサイズや大きさに合わせてデザインを調整してください。またはオリジナルのデザインやテキストを作図してください。
加工面の腕時計の高さに違いがあるか測ります。この差異の数字はZオフセットで調整する必要があります。このサンプルでは、写真のようにステンレススチール製の本体と革バンドの高さに相違がない腕時計を使って加工しています。
次にデザインデータをレーザー加工機用データ(=ジョブ)に出力します。デザインを選択し、グラフィックソフトの印刷でプリンター「Trotec Engraver」を選択、環境設定をクリック、出力設定タブを表示して下記を設定します。設定が完了したら最後に印刷のOKを押すと、JobControl(ジョブコントロール)レーザーソフトウェアにデータが出力され、自動でジョブが生成されます。
印刷 > Trotec Engraver > 環境設定 > 出力設定
印刷のデータ出力設定
印刷設定(加工オプション)
加工モード | 解像度 | カットライン | ハーフトーン調整 | その他 |
---|---|---|---|---|
標準 | 1000 dpi | なし | カラー | - |
ヒント
本体とリストバンドのデザインデータを別々に出力し、それぞれのジョブを作成した方が、ジョブのデザインデータをレーザーポインターで細かく位置決めできます。
ステップ2:レーザー加工
次にパラメーターを設定します。JobControl(ジョブコントロール)レーザーソフトウェアをPC画面に表示し、ステップ1でデータ出力したジョブをJobControlのプレート上に配置します。それからJobControlの「材料テンプレート」を開いて、下記のパラメーターを設定します。パラメーターの設定後、レーザー加工を開始します。
パラメーター設定(アニーリング)
カラー | 加工の種類 | パワー(%) | スピード(%) | 周波数(ppi/Hz) |
---|---|---|---|---|
黒 | 彫刻 FLP | 85 | 3 | 30000 |
パス(繰返し) | エアアシスト | Zオフセット | アドバンス |
---|---|---|---|
1 | on | +2 mm | - |
パラメーター設定(彫刻)
カラー | 加工の種類 | パワー(%) | スピード(%) | 周波数(ppi/Hz) |
---|---|---|---|---|
赤 | 彫刻 CO2 | 15 | 15 | 1000 |
パス(繰返し) | エアアシスト | Zオフセット | アドバンス |
---|---|---|---|
1 | on | - | - |
ヒント
トロテックのflexx(フレックス)モデルで彫刻加工をする際は、ファイバーレーザーで加工する金属の焦点位置に設定します。
※パラメーターは、加工する材料の材質や色、そしてレーザー加工機の機種やレーザー出力(W)によって異なります。仕上がりの良い最適な加工を検出するために、いくつかのパラメーターでテストすることをお薦めします。
ステップ3:加工後
レーザー加工後の処理は何もする必要がありせん。アニーリング加工は金属の表面にダメージを与えないので、加工後すぐに腕時計を快適に装着できます。
※アニーリング・マーキングとは、金属レーザーエッチングの特殊なタイプです。レーザーの熱が材料表面の下に酸化現象を起こし、結果的に金属面の色を変化させます。