会員制オープンアクセス型DIY工房「TechShop Tokyo」

導入事例
「TechShop Tokyo」

会員制オープンアクセス型DIY工房

公開日: 06.06.2018

TechShop Tokyo(運営:テックショップジャパン株式会社)は、2016年4月、東京・赤坂のアーク森ビルにオープンした会員制DIY工房です。床面積1,200平方メートル、最大天井高8メートルの大規模な施設に50種類もの工作機器を設置しています。

オープン当初からトロテックのレーザーカッターを5台導入し、イベントやワークショップにも幅広く活用している同施設について、代表取締役社長の有坂氏とドリームコンサルタントリーダーの藤森氏にお話を伺いました。

テックショップジャパン株式会社 

代表取締役社長 有坂 庄一(アリサカ ショウイチ)[写真中央]

TechShop Tokyoドリームコンサルタント リーダー 藤森 研伍(フジモリ ケンゴ)[写真右]

TechShop Tokyoドリームコンサルタント 永島 誠記(ナガシマ モトキ)* [写真左]

*休日作業のためユニフォームではなく私服を着用。

(敬称略)

テックショップジャパン株式会社

東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル3階 ウェブサイト

  •  2015年10月1日設立(富士通株式会社が100%出資)
  •  2016年4月1日 TechShop Tokyoを全面開業
  •  2017年春 株式会社TBWA HAKUHODOより15%の出資受入
レーザーカッターの用途
  1. 会員が利用できる工作機械として
  2. イベント・ワークショップでの活用
使用機種

<インタビュー記事>

現在、日本では170以上のファブ施設が開設されていますが、その中でTechShop Tokyoの特徴を教えてください。

【有坂社長】 特徴の一つは、規模が大きいということです。この規模は他には中々ないと思います。この広いフロアを活かして、デジタル・ファブリケーションの機械だけではなく、金属加工や木工、溶接など様々なカテゴリーの工作機械を設置しています。

二つ目は客層(会員)の多様性です。特に企業利用の多さが一つの特徴です。もうすぐ1,000人になる会員中、300人強は法人契約です。法人会員は5人以上からの契約なので基本的に大企業が多く、新規事業開発にあたってのアイデア創出や、プロトタイピング(試作品作製)、会員コミュニティとのネットワーキングを目的に入会しています。その他、スタートアップやベンチャー企業、大学からは研究ラボや学内ベンチャーが入会していますので、今後はその領域を対象にしたインキュベーションや事業化支援などにも力を入れようと思っています。

三つ目は、イベント利用です。企業イベントの場合は、オープン・イノベーション型の新規事業開発やアイデア創出を目的に開催されています。当社はクリエイティビティが高く、モノづくりの分野に明るい会員が1,000人近くいて、本格的な工作機械もあるので、イベントではかなりハイクオリティなプロトタイプが作れます。このようなイベントを企画から運営、そして実施まで提供できるのは当社の強みと言えます。

イベントでレーザーカッターはどのくらい使用されますか?

【有坂社長】イベントはアイデア創出から試作までを標準的に2日間のプログラムにし、試作フェーズとして2週間程度を設けています。参加者はその期間中この施設をいくらでも使用できるので、機器のSBUを一つ受講できるようにしています。SBUの選択肢にレーザーカッターを標準で入れていて、試作する人は大体レーザーカッターを使っています。ハッカソンの時はほぼ100%レーザーを使っています。

トレーニングの“SBU”とは?

【有坂社長】当社では利用者が工作機器を利用する前に、必ず2時間もしくは3時間の“SBU”と呼ばれるトレーニングの受講を義務付けています。一機種目は、大体皆さんレーザーカッターを選ばれるので、TechShop Tokyoの会員はほぼ100%レーザーカッターが使えると思います。

“SBU”とはSafety and Base Useの略です。安全が一番先にきていますよね。元々工作機は工場の中にしかなく、操作できる人は限られているのが常識です。それを様々なレベルの利用者でシェアリングする場合、一番に考えなければいけないのがSafety(安全)なのです。例えばこの施設の立ち上げ当初は、親会社の富士通から「ものづくり本部」という、実際に富士通の製造現場を担当している部署に支援してもらって、機器選定やルールの策定などを行いました。彼らの安全基準は工房の基準からするとちょっとtoo muchなくらい厳しい。しかし、この市場はまだまだ成長産業です。何かネガティブな事が起こると、当施設だけの問題ではない。だからtoo muchなくらいでも、安全に対して慎重にやらなければいけない。そこでSafetyが最も重要で一番先だと考えています。

ドリームコンサルタントとは?

【藤森氏】基本的にはお客様のアイデアをカタチにするお手伝い、つまりお客様の作りたいものを技術的にサポートしています。SBUを受けたお客様がわからない時に振り向いていただければ、私たちドリームコンサルタントが常駐しています。現在約10名で対応しています。

工作機械の使い方、といったことだけでなく、例えば他の材料と加工方法だともっと短時間で安く簡単にできる場合などは、会員の抱えている課題の本質的な部分を捉えてアドバイスするようにしています。そうすることで、会員との喜びを深いところで分かち合うことができるので、何か課題をクリアしてモノが完成したときの感慨はひとしおですね。また、時には我々の知識を超えた課題を突き付けられることもありますが、そのときは約1,000人もの会員の中で「その道のプロ」を見つけ出し、その方とお引き合わせすることで解決に導くなど、会員同士のネットワークを繋ぐ役割も、大きなウェイトを占めています。

【有坂社長】その他に機械や設備の運営ですね。安全に設備を動かし、メンテナンスも含めて使ってもらう時の運用を考えたりしています。また彼(藤森氏)はその責任者なので、新しい機器の導入や増設の選定も任せています。

なぜレーザーカッターにトロテックを選定したのですか?

【有坂社長】「トロテックにして」と言ったのは私です。トロテックか他社製かという話になり、日本でのサービスアビリティが重要だと考えていたので、信頼できるファブラボからトロテックの方が加工技術も含めてサービスが良いと聞き、トロテックに決めました。

5台のレーザーカッターをどのような用途や目的で使い分けていますか?

【有坂社長】Speedy 300(中型)の4台を樹脂用と木材用に2台ずつ分けています。どちらかが予約で一杯の時は、集塵機フィルターを交換して対応しています。Speedy 400は大型用として、どちらの材料でも使用可能にしています。

レーザーカッターの稼働率はどのくらいですか?

【有坂社長】TechShop Tokyoの工作機械の中では断トツです。オープン当初から稼働率は高かった気がしますので、最初に5台導入して正解でした。

【藤森氏】最長枠は4時間ですが、使う人は間に義務付けられている休憩時間を挟んで朝から晩まで使います。セッティングやデータの調整で1時間位取られることがあるので、準備を考えるとレーザーカッターの1回あたりの利用時間は大体皆さん4時間で予約されることが多いですね。

どのような用途や目的でレーザーカッターを使う会員が多いですか?

【藤森氏】様々ですが一つは、プロトタイプのモデル、つまりモックアップを作るなどです。例えば建築の模型や地形図等。それからアクリルを切って、アクセサリーやケースなどの製品を作るとか。ロゴや文字などの名入れをして、販売している人も多いと思います。

レーザーカッターで頻繁に加工される材料は何ですか?

【藤森氏】アクリルとMDFが主流です。あとは紙です。紙をデータで作って切ってしまった方が、ハサミで切るより全然早いし簡単です。テキスタイルでは革が多いと思います。

アクリルとMDFの材料はここでも販売しています。Speedy 300に入る大きさの材料も以外と重いので、ここで買えるのは便利だと思います。保管庫もあるので置いておけます。

レーザーカッターは、他のどの機械と組み合わせて使用されますか?

【藤森氏】レーザーカッターとUVプリンターというのが一つの定石になっています。アクセサリーを作る人はまずその組合せが多いです。レーザーカットした後、きちんとした治具を作ってはめ込み、大量にUVプリントする人もいます。

それからテキスタイルのユーザーは割とすんなりレーザーに入ってくる傾向があります。例えば、服飾を勉強している女子大生がハサミで裁断するのが嫌だそうで、レーザーで布を切っていました。特に化学繊維だとレーザーは焼き切るのでほつれが出ません。切った布をUVでプリントして、合わせ技を広げていました。

【有坂社長】その他は、プログラミングや電子工作と組み合わせる人が多いです。Raspberry Pi、サーボモーター、センサーを取り付けて、そのパーツやケースをアクリルで切ったりしています。

【藤森氏】3Dプリンターよりレーザーカッターの方が簡易的にハウジング(筐体)を作りやすいです。

レーザーカッターについて、会員から多い質問やご意見は何ですか?

【藤森氏】作図方法ではないでしょうか。イラストレーターを使ったデータ作りで、色の読み込みが上手くいかないとか、線の描き方や図面の作り方が上手くできないという質問です。

あとはパラメーターです。実際に加工したい材料を、どれくらいのスピードや%に設定するとか。実際にはテスト加工をしないとわからないのですが、サンプルを見せたり、これまでの経験で対応しています。サンプル例とパラメーターの一覧があるといいですね。初心者の方は特にパラメーターがわからないと思います。

導入から2年が経過しましたが、トロテックマシンのご感想をお聞かせください。

【有坂社長】トロテックは期待通りでした。現在、さらに増設を検討しています。

【藤森氏】トロテック、一番人気ですよね。非常に加工スピードが速いのと、細かい文字もとてもきれいに速く、正確です。ニーズとしてはTechShop Tokyoの中でNo.1の機械です。

ただメンテナンスの癖をまだ読めていない部分があります。どれくらいで集塵機が詰まって、どのくらい掃除すべきなのか。またシャフトやベアリングなど、機械部分はどうしても消耗するので、トロテックのオーバーホールのブランを依頼しようと思っています。

最近のファブ施設のトレンドは?

【有坂社長】最初は年齢層が高めでしたが、最近、若い人や女性が増えてきたと思います。ある日、このレーザーカッターからプリンターまで窓際に並んだ工作機械の操作をしているのが全員女性でした。こんな光景は初めて見ました。お昼休みや仕事帰りにここに作りにきて、地元で作品を販売している女性もいます。最先端のデジタル工作機械を使いこなすことで簡単にクオリティの高いのモノが作れるので、働き方改革と相まって多少自由な時間が増えるなら、楽しく作って売るというもの、いまどきのライフスタイルかもしれません。


【藤森氏】利用者の傾向としては、モノづくりが本格化してきてます。以前は3Dプリンターでプロトタイプができれば良かった。あるいは、切削機でアクリルやフォームのようなものを削ってカタチだけできれば良かった。それが本物の金属で削りたい、または射出成形できちんとしたプラスチックの金型を作ってプロダクトにしたい。本格的な製品にしたいというところまできています。

これからのTechShopが目指す方向性とは?

【有坂社長】我々がこのビジネスに取り組む意義は、「アイデアをカタチにする人にとって快適な場所であること」、そして「それをやったことのない人になるべく多くやってもらうこと」です。社会的な話をすると、日本は新しいモノが生まれていない、生まれにくくなっています。しかし今、個人のアイデアがカタチになって、それを簡単に販売することが可能になっている。誰でも何かしらのアイデアを持っているので、皆さんがアイデアをもっとカタチにしてくれたらいいと思っています。その行為自体が結構楽しいし、もしかしたら世界的なヒットが生まれる可能性もある。そうすれば国力強化にもつながるでしょう。ベンチャーの数が少ないのは日本の課題でもありますから。

ここで大事なポイントはモノづくりというより、とにかく「創造力を発揮する」ということです。英語ができるというようなスペック的な能力と違って、創造性の能力はあまり測られない。例えば、会社でクリエイティビティが高いことは評価されにくいし、わかっていても評価軸になかったりする。しかし、実は創造力というのはすごく重要なことで、欧米や中国と競争していくには創造性の能力をすごく伸ばさなければいけない。このスキルはもっと認められなければいけないと思っています。そういう意味で創造力の能力やスキルをきちんと発揮できる土壌を作る、土壌を定着させていくということが我々テックショップの使命だと考えています。

(取材2018年5月)
※本文に記載しているお客様の内容および機械の機能・効果・仕様等は、取材時の情報です。

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トロテックのレーザーカッターは、日本全国80箇所以上のファブ施設に設置されています*。それはトロテックのレーザーカッターが、ファブ施設に最も適したデジタルツールとして選ばれているから。

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(*2018年5月現在)

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