導入事例「ソニー株式会社」

Creative Lounge

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公開日: 12.02.2019

ソニーのCreative Lounge(クリエイティブラウンジ)は、2014年8月、東京・品川のソニー本社ビル1階にオープンした企業内ものづくりスペースです。

同年4月に、ソニー株式会社がスタートしたスタートアップの創出と事業運営をサポートするプログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」の一環として開設されました。

当時はまだ珍しかった社内ラボに国内や海外から数多くの視察や取材関係者が訪れたそうです。

この施設ではオープン当初からトロテックのレーザーカッター Speedy 400 flexx(100W)を導入して、プロトタイピングや製品化の開発に活用し、新規事業創出に役立てています。

本施設を立ち上げ、自らも新製品開発で新しい事業を創出しているCreative Lounge企画担当者の田中章愛氏にお話を伺いました。

ソニー株式会社 Startup Acceleration部 Program Operations Team
Creative Lounge企画担当

田中 章愛(タナカ アキチカ)

※敬称略

ソニー株式会社 Creative Lounge

東京都港区港南1-7-1 本社ビル1F(2014年8月オープン)

レーザーカッターの用途
  1. 「共創」をコンセプトとした企業内ラボのデジタル工作機械として
  2.  SAPオーディションや部署コンテストのプロトタイプ製作や製品化の開発等
使用機種
  • Trotec Speedy 400 flexx(CO2:100W、Fiber:30W)1台
  • Atmos Duo Plus集塵脱臭装置(230V)1台

施設のコンセプトは、SAPの入り口段階として「自由に作って試しましょう」

― Creative Loungeとは?

【田中氏】

このCreative Lounge(クリエイティブラウンジ)は、SAP(Seed Acceleration Program)の一環として誕生しました。SAPとは、簡単に言いますと社内起業家を応援するプログラムです。

新規事業の作り方は、トップダウン型や研究所で作られるものなど色々あると思いますが、ソニーとしてはそのような方法も並行しつつ、社内からアイデアを公募して、自らプロジェクトを立ち上げたい人が製品化やサービスを開始できるブログラムを用意し、社内スタートアップやプロジェクトを沢山生み出そうという目的でこのSAPを立ち上げました。

SAPでは「オーディション」を定期的に開催しています。これまでも特定の製品に関わる部署毎の「コンテスト」のようなものはありましたが、SAPのオーディションでは全社的に部署間の垣根を超えたアイデアの創出を目指しています。1人、または5人までのグループで参加できます。また「ソニー社員と一緒に何か作りましょう」という「共創」や「ネットワーキング」もテーマの一つとして掲げているので、ソニー社員がリーダーをつとめれば仲間や友人と参加することができます。

Creative Loungeは、SAPの入り口段階で、まずは「自由に作って試しましょう」というのがこの施設のコンセプトです。オーディションの過程で、アイデアだけをプレゼンしてもわからないんです。たとえば音に関する製品でいくら良い音質ですよとプレゼンで言われてもわからないし、体感する製品で触ったら面白いんですということを絵だけでは中々説明できない。弊社の製品は、特に人間が使って初めてわかる、感動する、体験が面白い、といったものが比較的多いのが特徴です。そういったものをカタチにして、実現して試す、自信を深める場を作ろうというのが、Creative Loungeの始まりで、存在理由になっています。


SAPの全体像を説明したパネル

オーディションの前段階では、自発的な提案だけでなく、それを促すSAP Trainingと呼ばれる、アイデアをカタチする方法やテストする手法を学ぶ講座も数カ月に一回開催される。その後、書類、ビデオ、最終審査から成る三段階のオーディションを経て、社内投票と審査を通過すると、一定の予算がもらえ3カ月間の短期集中育成プログラムが提供され、事業化を目指す仕組み。


― この施設を開設した経緯は?

【田中氏】

経緯としてはまず会社の方針がありましたが、社員の要望もちょうどマッチングしたのだと思います。この場所を作る前から工作スペースを所有する部署もありますが、部署毎に機材、トレーニング方法、管理と運営が全然違います。また例えば専門がソフトウェアの部署にはこのような工房がありません。当時は全社的に誰でも使える施設がなかったので、1カ所にまとめてオープンな場所を作った方が効率良いのではないかということで、SAP立ち上げ時に具体的なプランを提案しました。

さらに、社内各部署のアイデアコンテストに応募している人にインタビューし、「アイデアを形にするにはどういう機材、どのような施設があったら活動がしやすいですか」とヒアリングした際に、こういった施設のニーズは社内の声としても非常に大きいのがわかりました。私も過去社内コンテストにいくつも応募していたので、経験からスピードと効果を考慮して、施設オープン当初は、大型機材として先ず最もニーズの大きなレーザーカッターと3Dプリンターだけを導入しました。

海外では身近で当たり前のレーザーカッター

― なぜオープン当初からレーザーカッターを設置したのですか?

【田中氏】

私は元々社内の研究所でロボット開発のメカ設計を行っていて、その研究で2013年にスタンフォード大学に留学していました。その頃まさにテックショップが近所にあり、ファブラボが大学内にあったので、留学中の研究や授業で使う目的で当たり前のようにユーザーとしてレーザーカッターを使っていました。5年くらい前になりますが、レーザーカッターは本当に海外では当たり前で、その当時でも学部に1台は普通にあったので、何かを思いついたらその日のうちに作って試すことができました。やはり最初のアイデア段階でちょっと作ってみるっていうのは、絵を描くよりも自分に対する学びにもなります。またアイデアを逆に誰かに評価してもらうまでもなく、自分で作ってみたらこれはイマイチだなってこともあります。自分でユーザーに試してみるということも含めて、コンテストや上司への提案に対してもブラッシュアップされるので、非常に有効だと思いました。

それまで自分が関わってきた研究スタイルでは、精度の高い試作品を自分で手作りするのは結構限界があったので、業者さんにお願いして一週間くらいかかっていました。時間と費用に加えて、自分で作ったことがないと設計上の無理があって業者さんに無茶なお願いをしてしまったりするのでもう少し効率良くならないかとも考えていました。最初のラフなところだけは恐らく自分で作った方が、その後その部分を業者さんにお願いするにしても作りやすい提案になっていたりします。最初は自分の手を動かして学ぶというのが大事だなと思ったので、その点も総合的に含めてCreative Loungeのような場所があると効率良くなり、提案の質もあがります。何よりアイデアがきちんと具現化できます。また「ものづくり」ソニーの社風でもありますが、自分で考えたものをやってみたい、製品化したいという人が非常に多いので、有効活用できる人も多いです。

マシン本体と集塵機の連動システムによる「安全性」と「利便性」

― トロテックを選定した理由は?

【田中氏】

最大の決定的な理由は、集塵機の排気システムですね。アメリカのあるファブ施設で使用していた際は換気スイッチが遠く、つけ忘れなどのリスクがありました。ほんのひと手間なのですが事故に繋がりやすく、マシン本体と集塵機が連動していないためによく排気トラブルが起きていました。トロテックのレーザーカッターのように本体と集塵機の連動はとても大事です。

また、たまたまこの施設の入るビルが全面ガラス張りで、開閉することができない窓ばかりのため換気扇の穴があけられません。都心のビルでは後付けの排気工事は難しいので、レーザー機専用の集塵機も含めるとこれが最終的にほぼ一択でした。集塵機は安全性と利便性という意味でもやはり大事ですね。

また、トロテックのサポートがきちんとしているという点も大切です。このような施設では会員なら誰でも使えて、少なくとも一日1回は稼働している状態なので、故障時のメンテナンス対応も重要な要素です。

さらに弊社では製品に刻印することも多いと思い、金属を扱えるのは魅力的だったため、CO2レーザーだけでなく、ファイバーレーザーも搭載したflexx(フレックス)モデルにしました。

選定期間については、私自身が過去の利用経験からスペックをみればだいたいの機器の実力がわかるようになっていましたので、あとは展示会や知人を通して様々なレーザーカッターを調査・比較検討してから1、2カ月でこのモデルに決めました。

― この施設の利用方法は?

【田中氏】

ソニー社員なら誰でも、登録、トレーニング受講、工作機械利用費をお支払いいただければ使用できます。また共創スペースとしての場でもあるので、ソニー社員の紹介があれば一般の方でも利用できます。トレーニングは毎週開催しています。1回1時間くらいで、4名迄で丁寧に指導しています。イラストレーターで描いたデータを実際にレーザーで切ったりして、操作を一通り行います。これまで受講した人数は正確にはお伝え出来ませんが、トータルで何百人を超えています。

― レーザーカッターをどのように使用されることが多いですか?

【田中氏】

最も多いのは原理試作や治具の製作です。治具の材料はアクリルが多いですね。検査するための治具など、治具にも色々な種類があります。後は、基板を保護するためのケース代わり、専用スイッチやLEDの穴を開けたり等ですが、皆さんの作るものが多様なので、想像を超えるものが一杯作られています。

また、動くものの製作のために機構部品や歯車の需要は多いですね。歯車は少し狂うだけ全然かみ合いが変わってしまうので、こだわっている利用者は、何ミクロン単位で毎回同じパターンのテストピースを切り、全部ノギスで測っています。さらに今日はこれくらいのスポット径になっているからとレーザーカッターを都度調整して加工しています。

機材の組み合わせとしては、3Dプリンターとレーザーカッターを使うことが多いですね。レーザーは速いので平面のものは大体作れますし、木材など加工できる材料を選べるところもいいです。アクリルのように見た目がきれいな材料も得意ですね。三次元の複雑なものは3Dプリンターで作って、一部大きなものはレーザーで切って、そこに3Dプリンターで作った部品をのせて仕上げるというパターンもあります。3Dプリンターと組み合わせて、お互いの得意、不得意が埋められるので非常に重宝しています。

SAPで誕生した全製品のプロトタイプに、レーザーカッターを使用

― レーザーカッターを使って、実際に製品化になったのは?

【田中氏】

Creative Loungeの展示ケースに並んでいる商品全部に何らかの形でレーザーカッターが関わったと思います。本当のプロトタイプ段階では、レーザーカッターを使ってましたとか、特殊な部品の追加工をレーザーカッターで行っていたりとか。ある商品の開発者は、「レーザーがなかった提案すらできなかった」と言ってました。

私がSAPに応募して通過したプロジェクト、toio(トイオ)でも、プロトタイプ段階では活用しました。コントローラーのサイズ感を決める、などの初期段階で早く様々なサイズ・素材を試すことができて便利でした。

また、製品化の後にレーザーカッターが活躍しているのは展示什器です。商品名や商品説明のパネル等を手作りしてお店で使っているケースもあります。例えば、初期の一部をテスト的にレーザーで作って、後に業者に発注したりしています。パッケージ作りなどのデザイン系にもかなり活用しています。

― 導入からもうすぐ4年になりますが、トロテックマシンの感想は?

【田中氏】

期待通りで、欠かせない存在です。スピードが圧倒的に上がり、コスト面もアクリルと木を買ってくるだけでよいので手軽です。触ってみるまでレーザーカッターが何なのかを知らなかった人もいますが、この施設でレーザーカッターの必要性に目覚めたという利用者の方もいると思います。

要望があるとすれば、集塵機も含めて複合機のプリンターくらいに全体が小さく、メンテナンスがさらに簡単だと、部署単位で気軽に置けて扱いやすくなると思います。

いち早く製品化や事業化するための仕組みと場所

― このCreative Loungeの意義とは?

【田中氏】

Creative Loungeの意義として、一番こだわっているところが、アイデアからちゃんと一つの事業につながる、一製品になる、そのための仕組みやこのような場を用意しているということです。製品化につながるオーディションの仕組みがある、世に出るという出口があると、社員や応募者は本気で挑みます。単に施設を自由に使えるだけではなく、また賞をもらうだけではなく、事業として最終的に貢献したいという気持ちでみなさん取り組んでいます。

そしてこの社内ラボのような共創スペースが、会社の次の製品や事業の柱などのアプトプットに繋がっていき、リーダー人材育成にもなっています。企業としては当然長いテーマで5年10年かけて大きな投資をしている事業も多いのですが、もっと早く商品化することで先に繋がるものもあります。さらにそれぞれの専門性の共創によって、見つかる新しいアイデアやチャンスが必ずあると思っています。

また専門性の高い職人の方でないと使えない高度な機材とは異なり、この施設では1時間程度のトレーニングを受ければ誰でも使える機材だけを置いています。アイデアを埋もれさせない、そのための場所なので、弊社創業期からの自由闊達なものづくりの社風とも合致していると感じています。

(取材2018年6月)
※本文に記載しているお客様の内容および機械の機能・効果・仕様等は、取材時の情報です。


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(*2019年3月現在)

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