芝浦工業大学の子ども向けワークショップでの完成作品“みんなのいえ”

導入事例
「芝浦工業大学」

模型製作やプロジェクト研究、ワークショップに活用

公開日: 26.06.2018

芝浦工業大学は、文部科学省から「グローバル人材推進育成事業」に取り組むスーパーグローバル大学として私立理工系単科大で唯一採択され、800名以上の留学生が在籍している大学です。

同大学の豊洲キャンパスでは、トロテックのレーザーカッターを全学用と建築学部用に2台導入し、模型製作やプロジェクト研究の工作機械として、また子どもたちが体験学習できるワークショップ*の最先端デジタルツールとして活用しています。

レーザーカッターを使ったワークショップ開催後に、本講座の講師であり、学内のレーザーカッターを総合管理されている同大学建築学部の青島先生にお話しを伺いました。

*ワークショップ 「集まれ!未来の建築家~留学生とつくる“みんなのいえ”~」

芝浦工業大学が開催している子ども向け公開講座「オープンテクノキッズ」の一つ。最先端機器のレーザーカッターを使って、子どもたちが自分たちの”部屋”を留学生と一緒につくり、最後に一人ひとりの”部屋”を集めて、1つの大きな“みんなのいえ”を完成させます。ものづくりを通して、コミュニケーション能力、建築フロー、建築家としてのテーマを自然に学べるプログラム。2018年は5月26日(土)に開催。2014年から今回4回目となるこのワークショップは、毎回応募者数が定員の2~3倍以上を超える人気講座です。

芝浦工業大学の豊洲キャンパス

芝浦工業大学

東京都江東区豊洲3-7-5(豊洲キャンパス) 大学サイト 公開講座サイト

レーザーカッターの用途
  1. 課題設計や卒業設計で模型製作するためのデジタルツール
  2. 公開講座、イベント・ワークショップでの活用
使用機種
  • Trotec 小型レーザーカッター(CO2、30W)+ Atmos Compact 集塵脱臭装置(115V)各1台
  • Trotec Speedy 400 レーザーカッター(CO2、80W)+ Atmos Duo Plus集塵脱臭装置(230V)各1台
レーザーカッターで主に加工する材料
  • 木材(ラーチ合板・シナ合板)、厚紙(ケント紙・スノーマット・チップボード)、アクリル等
レーザーカッターの稼働率
  • 週に5~10時間、卒業制作の多忙期12月後半~1月は、毎日稼働。多忙期の緩和と利用対象学生の倍増を目指して2台目のSpeedy 400を増設。

<インタビュー記事>

隠れテーマは、「子どもたちの初めての建築プロジェクト」

― なぜこのワークショップを開催したのですか?

【青島先生】2014年に大学の地域連携・生涯学習企画推進課から「建築のワークショップで子どもたちに何かやってほしい」というお話がありました。ちょうどその当時、導入したばかりのTrotec小型レーザーカッターで「エネマネハウス2014」プロジェクトの模型を作っていました。実はその構造体が、ワークショップで子どもたちが作っていた箱と同じ大きさになります。その小さな箱の中に子どもたちのアイデアを入れることをイメージして、子どもたちに自分たちの部屋を作ってもらうことを思いつきました。さらに単純に箱だけを作るのではなく、レーザーカッターで自由に窓をあける、そういうところからこのワークショップが始まったのです。そして2015年の2回目以降は、海外からの留学生とコミュニケーションを取りながら進めるグローバルなプログラムとしても開催しています。

― このワークショップの目的は?

【青島先生】実は「隠れテーマ」があるんです。このワークショップは(単にものづくりを体験するだけではなく)「子どもたちにとって初めての建築プロジェクト」なのです。建築とは図面を描いて、(工場に)発注して、加工して、施工して、監理して、完成に至る。その一連の流れを子どもたちに体験させる機会を提供しています。

図を描いて人に伝えることは、子どもたちはまだ経験したことがありません。ワークショップの大学生が工場の代わりになって、それに発注する子どもたちが絵を描きます。つまり、その絵が子どもたちにとって、生まれて初めてのドローイング、設計図面になります。

設計図面を発注して加工してもらう時、思ったようなカタチにできない、思ったカタチにならない、組み立てるとこういうイメージではなかったと感じながら作っていく。この一連の流れを体験することで、自分たちの思い描いている建築に繋がります。

そしてこのプロジェクトを実施する際、学内に小さな工場が必要になり、非常に重宝しているのがレーザーカッターです。レーザーカッターをワークショップで実際に稼働できると、その場で体験して終わる学習と違って、自分が発注して、初めて作った建築プロジェクトを持って帰れるのもいいですよね。だからでしょうか、毎回応募数が2~3倍になります。今回も定員25名に80名の応募がありました。大学でワークショップを開催すると、親御さんは安心してお子さんを参加させることができるのも理由のようです。


子ども向けのワークショップをきっかけに2台目を導入

― 2013年にTrotec小型レーザーカッター、2017年にミドルサイズのTrotec Speedy 400を導入されていますが、それぞれの導入理由を教えてください。

【青島先生】2013年、私がこの大学に着任して早々にレーザーカッターの購入を希望しました。当時、日本の大学ではまだ少なかったのですが、海外からみると当たり前にレーザーカッターは大学に導入されていました。それで建築工学科(当時)の各研究室から資金を何とか集めて購入したのがトロテックの小型レーザーカッターです。主に建築学部の学生が学科単位での建築模型製作に使用しています。

そして、この子ども向けのワークショップをきっかけに4年後に購入できたのたがSpeedy(スピーディ) 400です。Speedy 400は、本学のSIT総合研究所という研究機関が全学的な共通機器として導入しました。建築に限らず、機械や電気工学など、大学全体の発展的な研究の活用を目的としています。

この2台のレーザーカッターを使用したい場合には、先ず操作方法等についてSA (Student Assistant)の講習会を受けてもらいます。小型レーザーカッターは学科管理ですが、Speedy 400は大学管理で全学の学生が使用できるので、使用する際は機器に施錠した鍵をSAに開けてもらい、SAと一緒に操作してもらうようにしています。講習を受けて利用登録した学生は、ウェブで予約を取り、使用後に利用報告を入力します。何を切ったか、どのくらい使用したか、どのようなパラメーターで加工したか、メンテナンスを誰に確認してもらったかなどを入力して、データを蓄積するようにしています。このような利用データの入力によって、問題の発生情報も把握できるようにしています。


明確なインターフェース、高い安全性、スピード、そして頑丈さで、トロテックを選択!

― トロテックを選定した理由は何でしょうか?

【青島先生】圧倒的な理由としては、イラストレーターでのオペレーションです。つまり操作インターフェースの明確さです。特に建築学科の学生が使い慣れたイラストレーターから直接書き出し可能であることが非常に大きいです。このソフトウェアは大学で標準装備されているので、誰でも自由に使えます。

もう一つは高い安全性。蓋をあければ稼働が止まる(インターロック)、その機能が必要でした。オープン型の集塵機能のない安価なレーザーカッターも検討したのですが、学生が使うので安全性を重視しました。またイベントで子どもたちが蓋の上から加工の様子を覗いても大丈夫なことが重要なポイントでした。

後はスピード感です。極端な話、レーザーは高機能な鉛筆だと考えています。ダイレクトにペンを手にして、それを絵にしたらそのままカタチになるというのが理想的だと思っていて、3Dプリンターと比べてレーザーはそのスピード感が非常に速い。また某メーカーのマシンは故障が多いと聞いていましたが、Trotecは止まらなかったので長く使えると思いました。要するにスピード感、そしてその先にインターフェースの取り方が上手い、さらに安全性と頑丈という点が大きいですね。

またトロテックの営業さんから「女性のデザイナーが家にトロテックの小型レーザーを置ける」、それを聞いた時に間違いなくこれからの世の中がそうなっていくと感じました。デザイナーの真横が工場だ!レーザーカッターはこの状態を作る機器という話を、営業さんと一緒にした時の共感も決定的でした。

― 実際にレーザーカッターを使用していかがですか?

【青島先生】操作性が良いです。また新たに導入したSpeedy 400の加工スピードが速いので、非常に助かっています。特に今、PBL (Problem-Based Learning = 問題解決型学習) の授業の形態が増えています。その授業ではしっかりした精度のプロダクトが速くできないといけません。また私の研究室「プロジェクトデザイン」では、コミュニケーションツールとしての制作が必要になります。その際、ある程度専門性がある制作物をパッと出せると一番説得力があるのです。このような状況下でレーザーカッターが非常に役に立っています。


作ることの主体を変えられるのがレーザーカッター

― レーザーカッターを使った今後のプロジェクトデザインとは?

【青島先生】具体的には、今、エチオピアにレーザーカッターを一台置きたいです。そこにレーザーカッターがあれば、データを送信すると、このような模型が向こうでも作れます。海外でも国内でも色々なところでプロジェクトをやっているので、レーザーカッターの機器本体とそれを使えるクリエイターが自分の側にも外(遠方)にも存在するという環境を作っていくっていくのが理想的です。

もう一つは、人を育てていくプロジェクト。ものが簡単に作れますというワークショップを積み重ねていくと作り手が無くなっていきます。だから一連の流れを学べるワークショップにしなければPBLは全く意味がありません。何故クリエイティブなものが必要なのか、何故レーザーカッターを使ってこれをやらなければいけないのかを教えなければいけない。オペレーターを育成しても、オペレーションはもうAI(人工知能)がやる時代です。だからAIを育てるようなワークショップではなくて、AIを開発するようなワークショップをやらなければいけと思っていて、何か作りたいということの主体を変えられるのがレーザーカッターだと思っています。

(取材2018年5月)
※本文に記載しているお客様の内容および機械の機能・効果・仕様等は、取材時の情報です。


ワークショップのフロー

  1. 青島先生による説明
  2. 展開図に子どもたちが窓の設計図を鉛筆で描く
  3. 子どもたちがノートPC前の学生に描いた設計図の説明をしながら、イラストレーターでデジタル化を依頼
  4. デジタル化したデータをトロテック・レーザーカッターで木材に加工する
  5. 壁に色紙を貼ったり、人、テーブル、椅子、植木などのミニチュア模型(=添景)で部屋を装飾する
  6. 加工したユニットを接着剤で組み立てる
  7. 作った部屋を1個1個重ねてみんなの大きな家が完成!

青島 啓太(あおしま けいた)

芝浦工業大学建築学部特任講師
2004年芝浦工業大学工学部建築工学科卒業。2006年芝浦工業大学大学院修了。2006年設計事務所アトリエ・天工人に勤務し、2009年エチオピア国立メケレ大学で専任講師。その後、パリ・ベルヴィル建築大学に留学し、DEA(ディプロマ課程)を取得。2011年イスタンブールのタゴアーキテクツに勤務したのち帰国。2013年に芝浦工業大学特任助教として着任。

(敬称略)


デジタルファブリケーションのレーザーカッターならトロテック!

トロテックのレーザーカッターは、京都大学や東京藝術大学など数多くの学校や教育機関で、課題制作、プロジェクト研究、プロトタイピング、ワークショップ等に活用されています。それはトロテックのレーザーカッターが、デジタルファブリケーションに最も適した工作機械として選ばれているからと言えます。

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